越境している隣の家の枝!2023年の民法改正によって切れるようになったって本当?
2023/10/16
2023年、日本の民法における越境の問題が改正されました。
これにより、枝を切る権利に関する新たな規定が導入されました。
新法の下では、隣地の木の枝が自身の敷地に侵入した場合、所有者は一定の要件を満たす限りにおいて、枝を切ることが認められるようになりました。
この記事では、民法改正の詳細と枝を切る際の注意点をご紹介します。
□民法改正によって越境してきた枝を切れるようになった?
隣接する敷地から木の枝が越境してきた場合、これまでの法律によれば、侵害された土地の所有者は枝を切ることができなかったのです。
・木の所有者に対し、枝の切断を依頼すること
・枝の切除を求める訴訟を提起し、切除を命じる判決を取得し、執行手続きを進める
上記のどちらかの手続きしか取れない状況でした。
また、竹や木の「根」が土地の境界を越えて侵害してくる場合については、既に改正前から侵害された側が切除することが許可されていました。
*改正の背景
近年、所有者が不明な空き地や空き家の増加に伴い、旧法によると侵害された木の処理が難しいケースが増えてきました。
相手の所在が分からないため訴訟を起こすこともできず、毎回訴訟を行うのは実現不可能です。
さらに、歩道や道路に木がはみ出し、危険な状況を引き起こすケースや、台風などの災害時に被害を招く可能性もあります。
今回の改正により、一般市民だけでなく行政としても対応が可能になったのです。
*隣地の木の枝を切る場合の「条件」
先述の通り、改正後も境界を越えた枝は「竹木の所有者に切断を要請する」ことが基本です。
ただし、今回の改正により、以下の3つの条件のいずれかが満たされる場合、侵害された土地の所有者は自ら切断することができるようになりました。
1.竹木の所有者に枝の切断を要請したにもかかわらず、一定期間(おおむね2週間程度)内に切断されない場合
要請方法としては口頭、電話、メール、文書などが考えられるでしょう。
ただし、将来的に訴訟が生じる可能性に備え、文書を内容証明郵便などで送ることが望ましいです。
隣接地の所有者が共有の場合、要請は全所有者に行う必要があることに留意するようにしてください。
2.隣接する竹木の所有者が判明せず、所在も分からない場合
条件2は、現地調査に加えて不動産登記簿や住民票の確認を通じて努力し、それでも所有者や所在が分からない場合にのみ適用されます。
3.緊急の事情が生じた場合
緊急の事情とは、台風などの災害により枝が折れ、隣接地に危険が生じる場合や、侵害した枝が建物の修繕作業を妨げる場合などが考えられます。
□越境してきた枝を切る際の注意点
・原則的には竹木の所有者に枝を切除させる
・隣地の枝の越境によって、自己の所有地に実害があること
・隣地との境界線がはっきりしていること
越境された枝による影響がある場合、まず竹木の所有者に対し、枝の切除を依頼する必要があります。
その後、さらに233条3項の特別な状況を満たす場合には、侵害された側による枝の切除が許可されます。
ただし、枝の越境による実害がない場合、枝の切除を求めることは権利の乱用とみなされる可能性があります(民法1条3項)。
この点を踏まえて、侵害された側も慎重に対応する必要があります。
境界線が不明瞭な状況では、越境の有無を明確にするためには先に境界を確定させることが必要です。
ただし、境界確定には費用と時間がかかる場合があり、解決が容易でないケースもあります。
そのため、事前に境界を明確にしましょう。
なお、本改正においては特定の規定は設けられていません。
そのため、この点に関しては明確な基準が存在せず、状況に応じてトラブルが生じる可能性もあることに留意が必要です。
□まとめ
越境した枝についての民法改正をご紹介しました。
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