不動産の売買では、大きな金額が動くため売買の前後で様々なトラブルが起こる可能性があります。
実際に「どの様なトラブルが起こりうるのか」、また「トラブルを未然に防ぐにはどのようにすれば良いのか」をご紹介いたします。
これから不動産の売買をお考えの方は、適切な対応ができるように事前準備の一環としてご参考にしてください。
不動産売却前に起こる可能性があるトラブル
不動産売却前に起こるトラブルとしては、境界線に関するトラブルがあります。
境界線とは、隣地との境界を示す境界標と境界標を結ぶ線のことです。隣地との境界線を確定するには、境界標の設置が必要となります。
売却する際に、買主や隣地所有者と境界について揉めるケースがあり、売却予定の土地が境界不明な際は、確定測量を専門家に依頼し敷地面積を確定しておくことが得策です。
主に確定測量された方がいい土地は、境界標の一部が不明な土地、最後に測量してから年月が経っている土地です。
それと、ブロックやフェンスが有っても越境して設置されていたり、共同所有物の場合もありますので事前に明確にしておきましょう。
境界が確定できない場合は、後から問題にならないよう、隣地所有者との現地立会を行ってトラブルを回避しましょう。
不動産売却後に起こる可能性があるトラブル
不動産売却後に起こるトラブルとしては瑕疵担保責任があります。
瑕疵担保責任とは、売却した物件に何らかの欠陥があった場合、その補修費用等を売主が負担しなければなりません。
瑕疵担保責任は「物理的瑕疵」と「環境的瑕疵」2種類に分かれます。
物理的瑕疵は、物件の雨漏りや家の傾き、シロアリ被害などが挙げられます。
環境的瑕疵は、近くに新たなビルの建築計画がある、近くに下水処理場があり悪臭があるなどが挙げられます。
どちらも買主に告げないとトラブルの元になる可能性があります。
現在、瑕疵担保責任は契約不適合責任に変わり、残念ながら売主の責任は重くなりました。
後々のトラブルを避けるためにも、不利になりそうなことでもしっかり相手方にその情報を伝えておきましょう。
環境的瑕疵
現象 | 施設 |
---|---|
眺望・日照を阻害する | すぐ近くで新たなビルの建築計画があるなど |
心理的に忌避される | 墓地、刑務所、風俗店、葬儀場、火災、死亡(事件・事故)など |
危険を感じさせる | ガスタンク、高圧線鉄塔、危険物取扱工場、危険物貯蔵施設、暴力団組事務所など |
ばい煙や悪臭を発生させる | 工場、下水処理場、ゴミ焼却場、養豚・養鶏場、火葬場など |
騒音や振動を発生させる | 飛行場、鉄道、航空基地、大型車両が出入りする物流倉庫など |
その他のトラブル
1,重要事項の説明に関するトラブル
重要事項の説明とは、売却する物件に欠陥があった場合に売主が買主に、その内容を伝えなければなりません。
例えば過去に事故があった、騒音のある等、物件を売却をしたいがために売主に不利益になる情報を買主に伝えないことによってトラブルなることがあります。
この様な物件の評価がマイナスとなる情報を買主に伝えると契約してもらえない可能性がありますが、事前に伝えた上で買主が契約していれば後々問題にはなりません。
重要事項の不告知はトラブルになるケースが非常に多いため、事前に問題点を把握し買主に理解頂いた後売却いたしましょう。
2,契約の解除に関するトラブル
契約解除に関するトラブルとは、契約を締結してから解約となることをケースです。
例えば、契約締結後に親族などに反対が遭うなどが挙げられます。
売買契約時には、通常であれば買主から売主に支払われた手付金は「解約手付」として、買主に返金されないことから、不服となりトラブルに発展してしまうことがあります。
基本的には、契約時に交わされている売買契約書に記載されている内容に沿って結論は決まることが多いため、トラブル回避するためにも契約書の内容を把握し、買主への説明不足にならないよう気をつけましょう。
3,土地の地下埋設物のトラブル
地下埋設物(地中埋設物とも言います)とは、地下に残置された建物のコンクリートの躯体、ガラ、岩、地盤改良時の杭などのことで、地中障害物と呼びます。
ごくまれに隣地の給排水管が埋設されている場合もあります。
土地の下に埋設物が残っていることが後々判明した際は、通常有すべき品質を欠くことから瑕疵となり、損害賠償や契約解除など発展する可能性があります。
更地の場合は一見、地下埋設物が残っているか判別できないため、売主から申告しないと買主が認識することは困難です。
そのため、地下埋設物が存在している場合は、売主がしっかりと告知し後々に大きなトラブルにならない様にしましょう。
4,残置予定物のトラブル
残地予定物のトラブルとは、買主があると思っていたものが実際にはないことをいいます。
例えば、エアコンやガスコンロなどが建物の設備として取り外さず残しておく必要があるものが挙げられます。
トラブルを回避するためにも、住宅の売買時は売主が設備表を作成し、設備表に残置予定物の「有」「無」を記載して買主に渡しましょう。
まとめ
不動産売買で起こるトラブルを未然に防ぎ適切に対処するためには、知識が必要となります。
もしもの時に正しい知識を持っていれば、いざという時に冷静に対処することができるかと思います。
本ページはそのきっかけにしていただければ幸いです。
不動産売買は高額なため、ちょっとしたことが大きなトラブルに繋がります。
時には一人で悩まず不動産会社の力も借り、安全な取引をしましょう。